お絵描きホーホー論

理屈で絵が描ける事を証明する、徹底考察お絵描き研究

人体デッサンを安定させるアタリ線の描き方

人体デッサンを安定させるアタリ線の描き方

 アタリ線の描き方について、その方法論を見つける為にどうすればそこに辿り着けるかを考えます。そのためには様々な参考資料を引用するわけですが、実際に調べてみるとかなりのパターンがありました。それらを目的別に分解して、都合のいいように再構築するという方針で話を進めていきます。

 今回のテーマは、前回の「安定して人体デッサンするためのアタリ線の習慣化の記事」の記事で提起した「手本があるときに模写する場合のアタリ線の描き方」です。本題に入る前に、まずは今回の下調べに使った教材を一覧しておきます。どのように参考にしたかというと、それぞれの著者、投稿者から描き方と考え方を学びます。ですが大抵の場合それはその人独自の考え方なのでしっくりこない部分も出てきます。とりあえず様々な考え方の意味・目的にあたる部分を言葉で表していきます。その後にしっくりこなかったカ所を自分で補強していくというということにします。

  • 参考文献
  • 『やさしい人物画』/A・ルーミス/北村孝一訳
  • 『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』/西澤晋
  • Pixivのお絵描き講座(toshi氏、三澤寛志氏)
  • Youtubeのスケッチ実演動画(投稿者/Sycla)

背骨のラインを描く

 よく耳にするのが背骨のラインを最初に描いて人物の軸を決定する方法です。体が前後左右に曲がっているときや、人物にパースがかかっているときには必ず描くようにしてます。たとえ正面図で背中が見えないときも胸から腹にかけての曲線をかきますし、場合によっては首から尻にかけての曲線を描くこともあります。要するに人物の位置決めには描かせないアタリ線ということになります。この背骨のラインの描き方について色々参考資料を集めてみました。(元画像が削除されたらしく、リンクエラーでPixivウィジェットが表示されません。めんどいしどうしようもないので放置です。)

 『自然な背骨の描き方。』では見えていない部分のラインも描いていて、胴体の立体感が掴みやすくなっています。解説によると、背骨を描くと頭のつき方から腰までの流れが把握できるとのことです。大抵の人は頭から人物画を描き始めると思いますが、背骨から描く場合は頭部は後回しの方が束縛されなくて良いかもしれません。

 『女性の背中の描き方。』でウエストのくびれの部分で背骨のラインがクイっと曲がっていることが顕著に見られます。背中のラインを描くときはS字になるように意識すると良いのですが、ビビって地味なS字にしていては動きの少ない硬直したポーズになってしまいます。骨格の作りを考えて、誇張するところはした方が躍動感が出ます。解剖学についてはまた後日。

 『セミヌードで女性の美しいラインを考える。』は同じようなことを書いてますが、参考のために貼っておきます。ここでは脚のラインを描かれてますが、これは解剖学を習得した者にしかできない芸当なのでまだ気にしなくていいと思います。

 『脊柱(背骨)』はリアルタッチのデッサンによる資料です。これを見て分かるように、背骨には首から尻にかけての背骨は4つの区分があります。上から順に頸椎、胸椎、腰椎、仙骨となっています。このとき胸の部分と尻の部分はあまり動かないとのことです。つまり背骨のラインを描くときに曲がり方が変化するのは首と腰の部分ということになります。動かない胸椎の部分は肋骨に沿った曲線と考えておけばいいと思います。

胴体の向き・傾きを決める水平線を描く

 おもしろい概念を見つけました。人物の重心が片足に偏って全身がS字に曲がっているポーズの考え方をコントラポストというらしいです。これは要するに左右対象な人体が体重の偏りによって曲がって、左右の高さがズレてしまうということです。参考資料の『重心・コントラポスト』ように肩峰・乳首・くびれ・骨盤の突起・膝・足首などを直線で結べば、背骨のラインと直行したアタリ線を描けます。背骨ラインとコントラポストによってそれぞれの部分に直交座標が生まれます。これによって胴体の立体感を把握するためのキッカケを作る事が出来ます。さらにコントラポストは胴体を高さ方向に分割するアタリ線ということも出来ますので、人物に高さ方向のパースがかかっているときは各コントラポスト同士の間隔も狭まって遠近感の把握にも効果的です。

ポーズの基準となる胴体の外形を描く

 背骨ラインとコントラポストが定まれば胴体の外形が描きやすくなります。胴体の外形は、正確に描こうとすれば多くの筋肉の影響を考慮しなければなりませんが、『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』では単純に三分割して考える方法を提案しています。この本では三分割法と言っており、上半身をそれぞれ頭頂・肩・へそ・股の高さで区切ると丁度三等分になるという考え方です。(fig.01)そして肩・へそ・股の区間は2つの台形を積み上げたような形になるので、胴体の外形をサッと描くにはうってつけのアタリ線といえます。

胴体を等間隔で区切る三分割法

 ちなみに目測で三分割できるのは人物を真横から見たときだけです。じゃあ使い物にならないじゃないかと思うかも知れませんが、先ほどコントラポストを描いておいたじゃないですか。既に肩・ウエスト・股の高さ全て定まっているはずです。コントラポストを考えるときには人物にかかったパースも考慮に入れているはずなので、それらのコントラポストを参考に三分割法を応用すればいいのです。

 三分割法を使えば、肩幅・ウエスト・ヒップの寸法に大まかなアタリをつけることができます。人物にパースがかかっている場合は胴体の厚みを考える必要が出てきますが、そのときは胴体の正面方向に一致する直線を描けば厚みの立体感が把握できます。正面方向のコントラポストのようなものだと思えば分かりやすいかと思います。(fig.02)試行錯誤しながら描き込んだ図なので見えにくいかもしれませんが、fig.02のように、背骨ラインとコントラポストと正面方向の直線で三軸座標が出来上がって完全に立体になります。ここまで描ければ胴体のアタリ線は完成なんじゃないでしょうか。

胴体の面の方向を把握するアタリ線

上半身と下半身を繋ぐパンツを描く

 これは要するに骨盤を描くということです。でも骨盤のような複雑形状を描くわけにもいかないので、代わりにパンツを描くということです。パンツをはいている人物を見ると分かると思いますが、ゴムひもの部分は胴体の断面を表し、V字部分は脚の付け根を表します。つまり上半身と下半身の連結部分の立体感を把握するための情報を得られるということです。パンツを描くということ以外とくに説明出来ないので下記の資料を参考に雰囲気を掴んで下さい。

腕の筋肉の流れを一筆で描く

 ここでYoutubeの動画の参考資料の紹介ですが、これは人体スケッチの実演動画になってます。これがまた個性的な描き方をしているのですが、非常に躍動感があって、しかもすごくシンプルというアタリ線の描き方をしています。パッと見でなんとなく納得できるような気がするのですが、ここで理屈に変換しなければ我がHP『お絵描きホーホー論』の名折れです。というわけで無理矢理言葉で表現してみました。

 動画を見て頂くと、どうやら筋肉の分かれ目を縫うようにジグザグ線を描いています。なんて言えばいいのか分からないのでギザギザ法とでも呼んでおきましょうか。腕を描くときは、まずは三角筋を囲む様に線を描き、そのまま続けて上腕二頭筋を囲い、さらに続けて前腕を曲げる筋肉群(肘三角筋。後日説明しますたぶん)を囲みにかかってます。脚を描くときも、大殿筋から太ももを伝って膝骸骨を囲みにいって、今度は腓腹筋の内側へと続きます。三角筋も大殿筋も人体の外形において重要な筋肉なので、その丸みから描き始めることは合理的だと思います。

 この手法は棒人間を描くときとは違って一本の線でなくて太さも同時に描けるので、アタリ線の段階で人物のポーズをほぼ決定できるので使える思います。ちなみに動画の女性を描くときに首もとと乳首を三角形で繋げているのも使えると思いました。アングルが変わっても三角形の面の向きで乳房の膨らみを見失わずに済みます。

独自のアタリ線の描き方

 それではこれまで学んだことを統合してより完璧なアタリ線の描き方を考えてみましょう。上記の項目を読んでみると、ところどころ連鎖的に関係しているアタリ線があります。背骨ラインから始まり胴体完成まで連鎖してますし、胴体が描けたら手足も描けるというものです。というわけで実際に手本の資料を模写することを想定して、連鎖的にアタリ線を描いて人物画を完成させる手順を組み立ててみます。方法論として補強するために独自のアタリ線のアイデアも組み込んでます。

  • 探るようにラフ画を描く
  • 背骨ラインを描く
  • コントラポストを考える
  • アイレベルを見つける
  • 地面のパース線を描く
  • 三分割法で上半身と腰の輪郭を描く
  • 胴体の厚みのパース線を描く
  • パンツを描く
  • 足の裏面の方向を描く
  • ギザギザ法で脚のラインを一筆で描く
  • 縫工筋→膝骸骨→脛骨のラインを一筆で描く
  • 鎖骨・首回りの筋肉・後頭骨の縁のラインを描く
  • 僧帽筋・三角筋を描いて肩幅を決める
  • ギザギザ法で腕のラインを一筆で描く
  • 手首の角度を決める線を描く
  • 顔の十字線を描く
  • 後頭部から頭蓋骨を描く

 大体こんな感じで予定してます。ここにきて突然登場した言葉もあるので何の事か分からないかも知れませんが、とりあえず人物画を描き上げる過程の全てを網羅した内容になっています。次回はこの方法で実践練習して、描きやすさはどうだったか、描けない部分はあったか、改善点はあったかなど、練習で描いた資料などを使ってレポートを書きたいと思います。

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